スコットランド人の誇り
スコットランド住民投票が終了し、独立賛否はきょう午後には判明するらしい。スコットランドという国は、われわれ日本人にとってあまりなじみのない国なのであろうか。ある人と話しているうちに、気づいてみると、相手は北アイルランドとスコットランドとを取り違えていたのである。北アイルランドの紛争はしばしば新聞で報道される。しかしながらスコットランドの政情は余り伝えられていない。スコットランドのウィスキーと民謡とゴルフとカーリングなどが、日本人に親しいものとなっているが、残念ながら歴史そのものについての知識は、皆無に等しい。
ゴルフの起源には諸説あるが、スコットランドの羊飼いの遊びが起源といわれる。暇を持て余す羊飼いたちが、棒切れで石ころを叩いて、ウサギの巣穴に入れるというゲームをしていた。石ころの代わりに羊の糞を使っていたという説もある。
司馬遼太郎の「仄かなスコットランド」によると、スコットランドというのはイングランドと異なり、ローマ帝国の支配しなかった塞外の地で、いってみれば万里の長城の匈奴のようなもの、ローマ人によって占領・教化されることのなかったスコットランド人は国力を発展させることができなかったといった趣旨のことを書いている。
歴史に対する解釈はさまざまであろうが、司馬はスコットランド史に関してはいくつかの事実を無視しているようだ。「敵の敵は友人」の原理にそい、スコットランドはフランスをはじめて大陸諸国と密接な交流があった。大陸の文化とローマ法がスコットランドにもたらされている。またスコットランド人の誇りのひとつは、スコットランドに根づいているケルト的なるものの古さと独一性に発している。例えばそれは、ローマ・カトリシズムより古いケルト・キリスト教の誇示とか、西ヨーロッパの他の諸国にはみられないスコットランド王国の王統連綿への誇りとなってあらわれている。(参考:飯島啓二「遥かなスコットランド」歴史と地理423) Scotland
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