成果主義の陥穽
第96回全国高校野球選手権大会が8月9日から阪神甲子園球場で開幕する。甲子園球場が開設されたのは大正13年8月1日。干支の甲子(きのえね)の年に当たるということで甲子園と名づけられたことはよく知られている。だがその名づけ親である三崎省三(1867-1929)については野球殿堂入りしていないこともあって、知る人は関西でも少ない。ところで野球と猛練習はつきものである。「千本ノック」の早稲田大学の飛田穂洲監督、「月夜のノック」で長嶋を育てた立教大学野球部の砂押邦信監督、日本刀でワラ束を切り込む独自の練習法で王貞治の一本足打法を考案した巨人軍の荒川コーチ。だがこのような日本式の野球道を全面的に見直すことを提言している人がいる。野球評論家の桑田真澄である。「野球を好きになる七つの道」と朝日新聞オピニオンで要約している。練習時間を減らそう、ダッシュは全力10本、どんどんミスしよう、勝利ばかり追わない、勉強や遊びを大切に、米国を手本にしない、その大声無駄では。どれもうなずけることばかり。桑田の言うことは、どうやら学問の世界にもあてはまるような気がする。成果主義に陥らず、地道な研究を続ける。ノーベル賞やネイチャー誌投稿など栄誉を求めすぎてはいけない。不祥事や事件が毎年のごとく起こっている理研には不正が起こる温床がある。それは金満体質と行き過ぎた成果主義により研究者が厳しい競争を強いられているからである。いまどき鬼軍曹はアナクロニズムだ。
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