真白き富士の嶺
1962年のこの日、堀江謙一が小型ヨットで日本人初の太平洋単独横断に成功した。この快挙に当時の日本人は沸いた。翌年、石原裕次郎主演で「太平洋ひとりぼっち」が作られた。同年、吉永小百合で「真白き富士の嶺」も制作された。日活は「太陽の季節」以来ヨットを題材としたものを好む。だがなぜこの時代になぜ太宰治の短編「葉桜と魔笛」を映画化したのか。高校のヨット部、美しい姉妹の愛情、この2点で制作部は吉永小百合、芦川いずみ、浜田光夫主演で映画化が進められたのであろう。時代は現代に置き換えられ、マーメイド号快挙の話が映画にでてくる。また吉永がケッセルの「昼顔」を読んで、姉が心配するという件がある。貞淑な外科医の妻が実は娼婦である。もうひとつの顔を持つ女性の深層心理を描いた作品。もちろん太宰の原作にはない。物語の舞台は原作では「島根県の日本海に沿った人口二万余りの或るお城下まち」とあるが、映画では神奈川県の逗子に変更された。吉永が浜田のヨットに乗り、転覆する場面やマフラーを交換する話など原作にはない。姉の婚約者なども原作には登場しない。吉永・浜田の「愛と死をみつめて」が大ヒットするのはこの作品公開の翌年のことである。
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