カント 時計よりも正確
哲学者カントは、その一生のほとんどをケーニヒスベルク(現カリーニングラード)という小さな町で暮らしていた。毎朝5時起床、10時就寝と定まっていた。朝食にはコーヒーを2杯飲んで、タバコを吸う。午後3時になると必ず街に散歩にでる、というのが1日の習慣である。カントの体のなかに時計があるかのごとく、実に規則正しい生活であった。
下男のランベは5時15分前に、ベッドの傍へ行ってカントを起す。前日どんなに夜ふかしをした朝でも、彼はこの声で飛び起きた。「ランベよ、お前と30年も暮らしてきたが、1日でも、2度も3度も私を起こさねばならなかったことはあるまい」と自慢していた。
詩人ハイネの話によれば、カントはいつも午後に散歩をしたが、その時刻は1分とちがわなかった。それで街の人々は、時々とまったりする大通りの時計を当てにできず、彼の通る姿を見て、めいめいの時計を合わせたというほど規則的であった。(参考:西元篤『逸話365日』創元社 1958年)Immanuel Kant,Konigsberg
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