「生命線」と「空中戦」 生き続ける昭和の流行語
AKB握手会で川栄李奈と入山杏奈、スタッフの3名がファンに刃物で刺されるという事件が発生した。そもそもAKBは「会いに行けるアイドル」がコンセプトで始まったグループなので、ファンと直接触れ会える握手会は「AKBにとっての生命線」ともいわれる。
ところでこの「生命線」という言葉は「生きるか死ぬかの境。絶対に侵されてはならない最後の限界」という意味で、昭和6年ごろの流行語だが、いまでも時々、耳にする。とくに野球の解説者がよく用いられる。「投手にとって外角低めは生命線だ」などと使われる。広辞苑を引くと「生きるか死ぬか、物事が成り立つか成り立たないかの分かれ目で、絶対に守らなければならない地点や限界」とあって、近年は「ライフライン」の意味で用いられることもあるが、野球での使用には少し違和感がある。もともとは昭和6年1月の衆議院本会議で政友会の松岡洋右が「満蒙はわが国の生命線である」と幣原外交を批判したことによる政治の用語だった。戦時中もしきりに用いられたが、「生命線」は政治から離れても流行し、「お肌の生命線」「身体の生命線」「わが家の生命線」などと使われた。
もうひとつ野球解説でよく耳にするのが「空中戦」。ホームランによる得点の取り合う派手な試合につかわれる。一説によると長嶋茂雄監督が1996年頃にインタヴューでしばしば使ったのが起源で、この言葉が野球界に定着したといわれる。
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