洞窟で見つけた光
ダグラス・バチェラーの父は航空機産業の仕事で成功を収め、母はエルビス・プレスリーの歌を作るなど、芸能界では押しも押されもしない地位を築いていた。母との関係で、ダグラスは、スターたちにチヤホヤされて育った。芸能界の華やかな人たちの中には同性愛者がいたり、麻薬やアルコールにはまっている人たちが多かった。ダグラスは経済的には恵まれていたが、愛情には飢えていた。学校では大喧嘩したり、何度か自殺を試み、ついには家出をする。やがてヒッピー仲間と食べ物を求めてゴミ箱をあさる生活を始めるが、南カリフォルニアのパームスプリングスの大峡谷に辿りつく。奥深くの洞窟に住み着きはじめた。中に入ってみると、そこは居心地のよい場所だった。すすで真っ黒になった天井は、以前、誰かが住んでいたことを物語っていた。壁から突き出している岩棚の上には、ほこりをかぶった一冊の黒い本があった。ほこりを払うと、「聖書」と書いてあった。やがて、洞窟生活にも慣れ、大自然の懐の中で暮らすうちに、ダグラスの心は徐々に、どうすれば得られるのかわからない心の平安を追い求めていた。ある日、岩棚からあの聖書を再び取り出してほこりを払った。聖書を開くと、内側の扉に手書きのメッセージを見つけた。「1972年7月12日、生まれ変わる。この聖書を見つけた人がこれを読んで、私と同じ平安と喜びを見いだすように祈る」とあって、その人の署名がしてあった。(Douglas Batchelor)
« むかしニューヨークはアメリカの首都だった | トップページ | 魔法使いサリーはサニーだった »
「キリスト教」カテゴリの記事
- 宣教医ベッテルハイム(2020.04.05)
- トビアの晩(2019.01.02)
- 大阪万博とモルモン教とゾウ(2020.04.06)
- 21世紀はなぜ2001年からなのか?(2016.03.17)
- ヴィア・ドロローサ(2016.01.10)
コメント