モナリザの眉毛
ルーヴル美術館の「モナリザ」にはまつ毛も眉毛もはっきりとは描かれていない。このことについて、当時の上流階級の婦人たちは、まつ毛や眉毛が見苦しいとして、すべて抜いているのが普通だったとする説がある。2007年にフランス人技術者パスカル・コットが、超高解像度カメラによる調査の結果、左目の上にまゆ毛と見られる筆跡が見つかった。修復の際にまゆ毛やまつ毛をふき取ってしまったと推定している。だが眉毛が1本でもあることは、当時、まゆ毛やまつ毛が描かれていたであろうと想像するに難くない。
「モナリザ」はもともとフランス王フランソワ1世が購入した作品だが、ルイ14世は「モナリザ」をヴェルサイユ宮殿へと移した。ルイ15世はこの絵が嫌いで侍従の部屋に飾っていた。19世紀初めにはチュイルリー宮殿のナポレオン1世の寝室に飾られていたこともある。モナリザの評価が高まるのは、19世紀半ば、テオフィル・ゴーティエらロマン派詩人たちがこの絵を「運命の女」と表現して、「謎めいた美」「人間を超えた冷笑」と美を見出してからである。
「今日の名画」カテゴリの記事
- ローマの美術館(2017.08.04)
- この名画はジャンヌ・ダルクではない(2024.04.26)
- 漱石と西洋美術(2020.05.14)
- モナリザの眉毛(2014.06.25)
- フェルナン・レジェ(2014.04.22)
コメント