時代劇は東映
前列左から片岡千恵蔵、大川橋蔵、東千代之介、加賀邦男、千原しのぶ、伏見扇太郎
前列左から尾上鯉之助、里見浩太郎、長谷川裕見子、片岡栄二郎、中村錦之助、大友柳太朗、市川右太衛門
昭和33年を一つのキーワードにしていた。東京タワー、長嶋茂雄巨人デビュー、石原裕次郎「嵐を呼ぶ男」。だが忘れちゃならない、あの頃、時代劇も黄金期だった。とくに片岡千恵蔵次郎長シリーズは年に一度の東映一家勢ぞろいに心を奪われた。シリーズといっても配役は作品ごとに入れ替わる。ちなみに昭和33年の正月映画「任侠東海道」(松田定次監督)では清水次郎長(片岡千恵蔵)、大前田英五郎(市川右太衛門)、増川仙右衛門(大川橋蔵)、大瀬半五郎(東千代之介)、法印大五郎(加賀邦男)、お竹(千原しのぶ)、大野鶴吉(里見浩太郎)、おきく(長谷川裕見子)、小政(片岡栄二郎)、桶屋の鬼吉(中村錦之介)、大政(大友柳太朗)であった。ただ印象としては前作の「任侠清水港」での中村錦之介・森の石松が殺される場面が記憶に残る。石松が都鳥の三兄弟に連れられて閻魔堂で騙し討ちに遭い、保下田の久六の子分どもに惨殺される。
子どもの頃、市場に住んでいたが近くに新しくスーパー・マーケットが出来た。そこの開店祝いに東映のスター尾上鯉之助が来店するというので、女性たちは大騒ぎだったことを思い出した。尾上鯉之助は1933年、日本舞踊の宗家・西川鯉三郎(1909-1983)の次男として生れる。1951年、菊五郎劇団に入り、東京・歌舞伎座の「源氏物語」で初舞台を踏む。1954年から東映にスカウトされて、1957年「さけぶ雷鳥」三部作に主演する。「キネマ旬報増刊日本映画俳優全集・男優編」によると、「吉川英治が戦前に少女雑誌に連載した雪姫七変化、鬼面竜騎隊などのB級娯楽版に主演した」とある。しかし調べてみると、「雪姫七変化」の原作は沙羅双樹(1905-1983)、「鬼面竜騎隊」は生駒光朗であり、吉川英治ではない。
尾上鯉之助は恵まれた容姿で女性ファンも多かったが、生真面目さ、真剣さがかえって動きの硬直さとなって現れ、後進の里見浩太朗などにも追い抜かれ、しだいに端役に回されることがおおかった。
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コメント
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なんと豪華な俳優陣なのでしょう。改めて思うのですが、当時の俳優達は美形なだけでなく、若いのに知性と奥深さと風格があります。今時の軽い「イケメン俳優」など足元にも及ばない。基礎をしっかり身につけた演技力も年齢以上の深みを与えるのでしょうね。
投稿: | 2014年6月23日 (月) 22時06分