フランスの産業革命
フランスにおける産業革命は、ナポレオンの失墜のあとをつぐブルボン王政の復古期(1815-1830)、それに続く七月王国期(1830-1848)にその胎動が始まった。しかし19世紀前半をつうじて、フランスは本質的に農業国である。王政復古期のフランスは、農業人口が総人口の約7割を占める。フランス経済は産業革命を開始したイギリスとの競争にさらされて深刻な打撃を受け、アメリカ独立戦争の影響もあって危機的財政状況であった。だが復古王政末期になると、鉄道の建設をはじめとする交通機関の発達、株式会社の勃興による鋼鉄、繊維工業の発展がめざましく、このような産業の発展のなかから金融資本家層が誕生する。1848年までに産業国家となったフランスはイギリスから大きく遅れをとっていたが、第二共和制(1848-1851)、第二帝政(1852-1870)の頃には発展をとげ、追い着く状況をみたが、イギリスとの競争に打ち勝つには自分たちの幼稚な産業を保護するため、常に高率の関税という形で政府の援助を得る必要があった。(参考:服部春彦「フランス産業革命論」 1968年)
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