ドッペルゲンガー 見たら死ぬ
テレビ「日本のうた」を観ていると、和田青児という歌手が恩師の大庭脩先生(東洋史)に生き写しのように似ている。たしかに 「自分と瓜二つの人は世界に3人はいる」という。アラン・ドロンの映画「世にも怪奇な物語」というオムニバスの1編はポーの「ウィリアム・ウィルソン」を映画化したものだったが、この現象を「ドッペルゲンガー」(自己像幻視)という。そして、もし自分と瓜二つの人間に遭遇すると、それを見た自分は近い将来死んでしまうという。
芥川龍之介はドッペルゲンガーを見ていたらしい。芥川の死の前日、編集者が芥川家を訪ねた。そして机の上にある、書きかけの小説を見つけた。「新作ですか?ちょっと拝見してもよろしいですか」彼が原稿に手を伸ばそうとしたとき、「それに触るな。それは失敗作だ」と芥川は突然叫んで原稿を全て破り捨てた。芥川のあまりの気迫に驚いた編集者は、その日は帰ることにした。翌日の朝、再び編集者が芥川家を訪ねてみると、芥川は死んでいた。だが、芥川の破り捨てたはずの小説の原稿がなぜか完全な形で机上に置かれていたという。(Doppelganger)
« ドーデ決闘する | トップページ | 「滝の白糸」と「マダムX」 »
「心と体」カテゴリの記事
- シュテルンの段階提示法(2022.11.10)
- ジェームズの感情理論(2022.11.12)
- 五風十雨(2022.05.15)
- シピオーネ・リヴァロッチ(2020.02.11)
- ミスで死後16時間で火葬した話(2018.11.20)
「世にも怪奇な物語」、ずいぶん前の若い頃に見て確か3作のオムニバスだったような気がします。そのうちのひとつに、最後に絵の中に入ってしまうのがあり、苦悶の表情の悲惨な絵だった作品が印象に残っています。
投稿: | 2014年5月12日 (月) 21時35分