ラテン・アメリカの文学
4月17日、「百年の孤独」で知られるコロンビアの小説家ガルシア・マルケスが死去した。20世紀、南米は文学の盛んな地である。アルゼンチンでは1840年代に入ってロマン主義がおこり、「エルビーラ」その他の詩と、有名な風刺的短編「賭殺場」の作者エチェベリーア(1805-1851)、政治家・教育家として活躍し、現在ラテン・アメリカ文学の古典となっている散文「ファクンド」の作者ドミンゴ・ファウスティーノ・サルミエント(1811-1888)、ローサスの暗黒時代をえがいた「アマーリア」の作者ホセ・マルモル(1818-1871)などが出現した。
20世紀になって多くの優れた小説家が現れたが、写実小説で大きな足跡を残したのはチリのバルザックとよばれるブカレスト・ガーナ(1830-1920)や、アルゼンチンの近代生活をえがいたガルベスである。またチリのミストラル、アルゼンチンのストルニ、ウルグアイのイバルボロといった女流詩人が現れた。まちチリの詩人パブロ・ネルーダ、ペルーの革命詩人バリュッホ(1893-1938)など現代ラテンアメリカ詩の先駆者である。
ブレスト・ガーナ ガブリエラ・ミストラル
パブロ・ネルーダ ロムロ・ガリューゴス
第二次世界大戦後のラテン・アメリカ文学は独自の世界を切り開くことに成功した。アルゼンチンではボルヘス、コルタサール、サバト、ブイグ、そしてキューバではレサマ・リーマ、カルペンティエル、カブレラ・インファンテがいる。メキシコではルルフォ、フエンテス、ウルグアイではオネッティ、ベネデッティ、マルティーネス・モレーノの名があげられる。その他の地域では、グアテマラのアストゥリアヌス、コロンビアのガブリエル・ガルシア・マルケス、ペルーのバルガス・リョサ、チリのドノソ、パラグアイのロア・バストス、ブラジルのローザらが出現した。
« 靏岡賢二郎 | トップページ | 北摂の歴史と文学 »
「世界文学」カテゴリの記事
- マーティン・マルプレレット論争(2018.11.02)
- 最古の孫悟空(2018.03.24)
- 学生街の喫茶店(2016.10.14)
- 曹雪芹(2016.09.11)
- 田園交響楽(2016.09.10)
コメント
« 靏岡賢二郎 | トップページ | 北摂の歴史と文学 »
バルガス・リョサと日本で表記されるこの作家は、普通のスペイン語ではヨサまたはジョサと発音される。アルゼンチンのスペイン語ではショサと発音される。リョサとはスペイン語を読めないアメリカ人の発音なので、日本でもいつの日か彼をジョサと表記するようになるといい。
ギジェルモ・カブレラ・インファンテがアメリカ映画「バニシングポイント」の脚本を書いていたとは私には驚きでした。
投稿: | 2011年7月23日 (土) 22時24分
実はラテンアメリカ文学は何も知らない私ですが、記事を書きつつ、知的好奇心を充たす宝箱のようなものだと感じています。「バニシングポイント」は公開時、青年時代に観た一本でとても懐かしい。ギレルモ・ケインとかG・カインというのはインファンテの別のペンネームだったんですね。
投稿: ケペル | 2011年7月24日 (日) 10時48分