ソクラテスの死刑について
魂をできるだけすぐれたものにするように気づかいなさい
アテナイの法廷でソクラテス(前469-前399)は死刑の宣告をうけた。「ソクラテスは青年たちを惑わし、堕落させ、国家の神々を信じないで、他の精霊を信じている」という罪状であった。当時の司法制度を詳しく知らないが、裁判官は抽選で任命された数人の市民から構成されている。ちょうど現在の裁判員制度のようなものであろうか。ソクラテスの弁明が終わると裁判員の投票が行われ、有罪と決まった。告訴人であった詩人のメレトスは、死刑を要求した。次にソクラテスが立って、どういう刑を受けたいか述べることになっている。裁判官の多くは、ソクラテスがおそらく、アテナイを去るといいだすだろうと思った。だが、ソクラテスの口をついて出たのは、「罰金が適当」。死刑か罰金か、再び投票が行われ、死刑が宣告された。ソクラテスは立ち上がって述べた。「いまわたしは、諸君から死刑を宣告されれてここを出ていく。しかし告訴人は、真理という裁判官から、卑劣と不正の罪を宣告されてここを出ていくのである」
死刑を控えてのソクラテスは、筆舌を越えて、堂々としていた。神に祈りながら、息をとめて一滴のこらず毒ニンジンの杯を飲みほした。こうして、人類史上偉大な思想家ソクラテスは、生涯を閉じたのである。それは4月27日のことであった。( Sokrates,conium )
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