娼婦と黒猫
欧米では猫は不吉の象徴とする迷信があり、中世においては猫をただ飼っているというだけで、魔女として猫と一緒に火あぶりにされることがあった。たとえばベルギーのイーペルでは「猫の水曜日」に時計台から黒猫を投げ殺す行事が19世紀初頭まで行われていた。また西洋の御伽噺には黒猫が魔女の使い魔として登場する。19世紀の絵画「オランピア」には裸の女性の足下に黒猫が描かれている。マネはどのような意図でもって黒猫を描いたのか。黒猫を自由の象徴とみなす説、女性の首を飾る黒いチョーカーは、当時、高級娼婦の間で流行していたファッションであることから、黒猫はこの裸の女性が娼婦であることを暗示するアイテムとして描かれたとされる。また彼女が片足だけにつけているサンダルは純潔の喪失を意味し、フランス語の俗語でメス猫は女性の陰部をあらわすという説がある。
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夢二の『黒船屋』も黒猫を抱いていますね。娼婦達には黒猫を飼うと性病に罹らないという俗説があったとか。
投稿: ken | 2013年3月 5日 (火) 01時35分