羊頭狗肉
近年、産地や原材料偽装、賞味期限の改竄など食品偽装の事件など世相を反映したことが起きるが、まことに嘆かわしいことである。よく知られた故事成語に「羊頭狗肉」がある。羊の頭を看板に出しながら実際には狗の肉を売ることから、よい品を見せて、悪い品を売る。立派そうに見せかけて粗悪な品を売るたとえである。この言葉のもとの形は「羊頭を懸げて馬膊を売る」(『晏子春秋』)で、後漢の光武帝の詔書にも「羊頭を懸げて馬膊を売り、盗跖、孔子語を行なう」(『後漢書』光武紀)がみえる。清代の『恒言録』(銭大昕の撰)には「羊頭狗肉」(羊頭を懸げて狗肉を売る)が引用されている。「騙し」は大昔の時代からあるが、人の世の悪行はなくならないものなのであろうか。むしろ情報が発達し、メディアが多様化する現代、騙しのテクニックはさらに巧妙になっている。騙されない方法はないだろうか。だまされるのは心理的な問題がある。震災などで多くの人の心が傷つくと、癒しとして音楽の力というのが盛んにいわれる。「癒し」の効果というのは数値で測定でないあいまいなものである。そこに営利性のつけいるビジネスが成立する。犠牲者に奉げるレクイエムといえば普通の人は神妙になって聞くだろう。作曲した人が全盲であり、著名な音楽評論家が「現代のベートーベン」といえば、クラッシックを理解しない人でも、ブームに取り残されるような気がして、「感動した」と口々に褒めあうだろう。NHKというメディアは信頼性があるので騙すには格好のメディアである。大手新聞社も然り。先の戦争はメディアがこぞって聖戦と美化し、日本を戦争につきすすめた。周囲にまどわされずに、しっかりとした個人個人の判断力をもたねばならい。
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