コロンブスの卵
1493年、クリストファー・コロンブスが第1回の探検で西インド諸島のキューバ島などを発見してスペインへ帰還した。このとき、盛大な歓迎会が開かれた。その席上「コロンブスでなくても誰でも西の海へ航海すれば新しい土地は発見できたわけだよ」というささやきを耳にした彼は、テーブルに並んだゆで卵を指して「皆さん、これを立ててごらんなさい」と言った。その場にいあわせた人々が卵を立てようと、いろいろ工夫してやってみるが誰ひとりとしてできなかった。「あまり難しいことではありませんよ。まあ、わたしのやるのを見ていてください」といい、コロンブスはゆで卵のはしを少したたいて立たせた。「なんだ、そうすれば誰でもできる、なんでもないじゃないか」と言いあって笑った。彼は「そうです。卵を立てるなどなんでもないことです。でも、あなた方は誰ひとりとして気がつかず、私だけが気づいたのです。最初にやるのが貴く、大切なのです」と言って笑った。「コロンブスの卵」の話は、発見、創造性というものの難しさを教えてくれる。科学者の中谷宇吉郎も「立春の卵」という随筆で、落ち着いて静かにやってみれば、10分ほどで卵は立つ、と書いている。いま大学では、目の前に横たわる卵を生徒であるとして、体育大学生に、躓いている生徒を指導して、「卵を立てる」ことを実践する、という面白い授業があるそうだ。
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