涙で描いたネズミ
水墨画で有名な雪舟等揚(1420-1506)は応永27年(1420)備中赤浜で生まれた。少年時代は故郷に近い井山の宝福寺(総社市井尻野)にあずけられ修行をした。小僧は修行をしないで、絵ばかり描いているので、和尚はおこって本堂の柱に縛りつけた。そして数時間のちに、たまたま通りかかった仲間の小僧がびっくりした。縛りつけられた、小僧の足もとに大きなネズミが今にも飛びかかりそうにしているではないか。小僧の報せで和尚があわてて飛んできた。大勢で本堂の床を踏み鳴らして追いはらおうとたが、そのネズミは動こうともしない。だがよく見ると、それは濡れた涙で板の上に描いたネズミだった。さすがの和尚もこれには驚いて、小僧の絵の才能を認めて、絵の修行が認められた。後に画聖となった雪舟の少年時代の逸話である。
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