山内一豊 名馬の誉れ
信長はある日馬揃えを催した。群臣武将が居並ぶ前を、多くの武将が行進する。その中にひときわ目立つ栗毛の名馬に跨る若武者一騎。手綱さばきも鮮やかに、まことに天晴れなる武者ぶりだ。信長も「あれなる者は」と問うた。「はっ。山内一豊にございます。」「何、一豊とな。あの貧乏な一豊がどのようにして、あのような駿馬を手に入れたのか。」これには秘められたる逸話があった。馬市で素晴らしい逸物を見つけた一豊は欲しいは山々だが買う金がない。無念に思いながら家に帰って妻に話をすると、妻は鏡台から黄金を取り出し、「夫の一大事の時に使えと嫁入りの日に母がくれたもの。これにて馬を」と言った。毎日の暮らしに心奪われず武士の面目をわきまえたる天晴れ貞婦の鑑と、信長もいたく感動して多くの褒美をあたえたという。(参考文献:「日本歴史図鑑」省光社)
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