漱石とイプセン
漱石がイプセンを敬愛していたことは夙に知られている。「草枕」に「北欧の偉人イプセンは此革命の起こるべき状態に就て具さに其例証を吾人に与えた」(草枕)とか「イプセンは豪い。(中略)彼は其劇に於て吾人を人間意識の急所迄連れ込んで行く男である」(愛読せる外国の小説戯曲)などと書いている。その他、講演、書簡などにもイプセンの名はさかんに現れる。
「山路を登りながら、かう考えた」で始まる「草枕」は、原千代海によるとイプセンの長編詩「高原にて」の一節によく似ているという。東北大学付属図書館が所蔵する漱石の蔵書にもイプセンの著書が多数含まれている。(原千代海「漱石とイプセン」図書646号)
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