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2013年12月22日 (日)

怪談百物語「雨月物語」

    吉備の国に井沢庄太夫という男がいて、春は農耕、秋は刈入れと農業を専一にして、豊かに暮らしていた。(ドラマでは江戸の豪商という設定になっている)だが一人息子の正太郎(椎名桔平)は畑仕事を嫌って、酒と女に狂いふけり、父のいうことを聞こうとはしない。そこで、きちんとした家柄の器量のいい娘さんを正太郎の嫁にすることにした。そうすれば、あの道楽も自然におさまるだろうと。だが正太郎と磯良(富田靖子)の結婚の占いには吉備津の釜の音がしない。釜鳴りの大きいことは吉兆であるが、釜鳴りがないのは凶であった。二人は仲睦まじく暮らしていた。だが、根っからの放蕩な性質はどうにもならない。いつの頃からか、袖(佐藤江梨子)という遊女と深い関係に陥り、近くに妾宅を構えて、そこに寝泊りするようになった。磯良は袖に夫と別れるように大金を渡して懇願するが、あべこべに正太郎は袖を連れて駆け落ちする。夫に裏切られた磯良は憎しみのために、病で寝込んでしまう。だが、袖も磯良の祟りか、妻の怨霊か、生霊がついたのか、正太郎の看護の甲斐なくあの世に旅立ってしまう。正太郎は、こうなって独りになると、毎日のように袖の墓に参るのであった。そこで一人の美しい娘に出会う。生来の浮気心が擡げたわけではないが、またも正太郎は女に心をひかれた。彼女は正太郎を薄暗い林の中に連れて行くと、ぽつんと小さな茅葺の家があった。老師がいうには、正太郎には死霊がついているので、魔除けのお札を茅屋に貼り、49日間、戸を閉めて、厳重な謹慎をするように命じられた。ほんの一瞬であっても、この教えを破ると、命がないということであった。その夜から正太郎は毎晩、妻の磯良の怨霊に襲われた。あと一晩という日になって、正太郎は女の誘いにのって戸を半分ほど開けてしまう。ギャッ、と一声耳をつんざく正太郎の叫び声がした。正太郎の死体があるかと見渡したがない。そこには釜の中に男の髪を一束にした髻だけがあった。ドラマは上田秋成の「雨月物語」の一編「吉備津の釜」を脚色している。

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