西表島の採炭事業
石垣島の西方約15㎞に位置する西表島は、周囲約75㎞で、沖縄本島についで大きい島である。東洋のガラパゴスといわれるように、20世紀最大の発見と騒がれ、国の特別天然記念物に指定されているイリオモテヤマネコやカンムリワシ、陸生のカメであるセマルハコガメなどの世界的にも珍しい貴重な動物たちが生息している。
西表島には良質の石炭を産し、明治18年には鹿児島の商人、林太助が炭脈を調査し、三井物産会社と西表島の元成屋などで試掘が行なわれた。明治中期から戦前期まで採掘がさかんに行なわれた。はじめは囚人が労働者としてあてられたが、やがては広く全国から募集した。暖かくて暮らしやすい南の島へという誘いの言葉に乗ってやってきた人々を待っていたのは、タコ部屋労働であった。地獄さながらの強制労働のほか、焦熱のマラリアの発生などで、採炭事業は困難を極めた。島には今でも炭鉱の跡(丸三炭鉱宇多良鉱業所)が残っており、宇多良川に沿って、大量の石炭が積み出されていった。採炭事業は太平洋戦争末期まで続けられたが、積み出す船がなくなったため採掘は中止された。(参考:三木健「西表炭坑概史」 1976年)
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