テレビの下の本棚運動
昭和40年代初め、テレビはどの家庭にもあるようになった。そして子どもたちは一日中、テレビばかりを見る。テレビは子ども向け番組がたくさんあった。小田原市立図書館の石井富之助(1906-1996)は「テレビの下の本棚」運動を提唱したのは昭和43年の頃だった。今日「テレビの下の本棚」運動というのを知る人は少ない。たとえばテレビを見ていて、知らない地名や人名あるいは事物が紹介される。そんなとき「それはどんなこと」「どんな意味」といった疑問が浮かんでくるだろう。テレビはおかまいなくどんどん流れていく。この間クイズ番組で「ローマと東京はどちらが緯度が高いか」という問題が出た。クイズだからその後ですぐに正解がでるが、その時、地図帳を開いたら、ローマが高緯度にあることが確認できるだろう。辞典などが身近にあったらもっと気軽に調べることができる。だがお茶の間にはいろいろな物が置いてある。ひとつだけいい場所がある。テレビの下の空間である。それが「テレビの下の本棚」運動の趣旨である。読書運動は良書を推薦するばかりでなく、このような基本的な方法を身につけさせることも大切であることを提唱した。いまはテレビ画面でデジタル情報が出て、天気予報や野球選手の打率などあらゆる情報が得られるが、いまでも「テレビの下の本棚」運動は有益であると思っている。
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