カタツムリの殻で大戦争
戦争のきっかけとして伝えられている事件が、ふとした、ごくたわいもないことだったということは往々にしてあるものだ。1年以上も続き、10万人以上の犠牲者がでたドイツ農民戦争もねそうした例のひとつである。1524年6月23日に勃発するが、そのきっかけはカタツムリの殻だったという。
ドイツ西南部のシュワルツワルトの東南隅にあるシュテューリンゲン伯領でのことだった。領主夫人が糸巻きの芯にするためにカタツムリの殻を拾ってくるよう、農民に命じた。ちょうど農繁期にあたっていたので、そんなたわいもないことで大切な時間をつぶすことはてせきないと、それをきっかけに、日ごろの農民の不満が爆発した。農民は62ヵ条の訴状わ掲げ、傭兵出身のハンス・ミュラー(?-1525)が指導者になって戦争は始まった。各地で農民の蜂起が続き、翌年の春にはドイツ全体のほぼ3分の2が農民戦争に巻き込まれた。しかし、フランケンハウゼンの戦いを最後に、秋には農民たちは敗北し、大反乱は終わった。(Stuhlingen,Hans Muller von Bulgenbach,German Peasants' War)
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