ソ連の消滅
「地球から見えない、月の裏側を初めて観測したのは宇宙船ルナ3号でしたが、どこの国の宇宙船だったでしょう?」というテレビのクイズ番組の出題。回答者は「ロシア」と答えて不正解とされた。「ソビエト連邦」が正解だとする。出題文に「当時の国名(政体)で」と限定していないので、「ロシア」を不正解とするのは厳しすぎるように思えるのだが、なぜか日本ではソ連とロシアとを区別したがる傾向がつよい。
世界史において歴代日本でも中国でもロシアでも王朝や政権はしばしば交代するので、現国名をもって過去の時代をさすことはよく見られることである。たとえば作曲家ベートーヴェンは1770年の生まれてで当時ドイツは「神聖ローマ帝国」であった。彼は1827年に亡くなったが、神聖ローマ帝国は1806年に消滅している。日本で見えるほとんどの事典のベートーヴェンの項目には「ドイツの作曲家」とあり、「神聖ローマ帝国」とあるのを見かけない。
厳密に王朝名(政体)で表わすとすれば、トルストイはロシアの小説家で。ガガーリンはソ連の宇宙飛行士となるが、ソルジェニーツィン(1918-2008)など2つの国家にまたがって生きた人物はどのように呼ぶのが正しいのであろうか。
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