オリンピック・レガシー
「レガシー(legacy)」という英単語が話題となっている。もちろん自動車ではない。
ロンドン郊外の豪邸。むかしこの館の女主人マギーが火刑に処せられたが、自分の霊魂を相続人としてある女を選ぶ。選ばれた女は当時「卒業」で人気だったキャサリン・ロス。このオカルト映画の題名は「レガシー」(1978年)。意味は「遺産」「過去からの遺物」。
ブエノスアイレスIOC総会での招致プレゼン。「私たちは、大会開催によって、都市とスポーツに新しいレガシーをもたらします。45億ドルもの大会準備基金がそれを可能にします」猪瀬東京都知事はこうスピーチした。つまり1964年の東京大会の経験を受け継いで、過去からの遺産を新しい遺産とする、という意味なのだが外国人にはとても違和感がある表現らしい。「レガシー」は基本的に「過去からの遺産」であって「未来への遺産」としての意味なく、使われない表現なのだ。しかし日本では数年前から論文などで「オリンピック・レガシー」は流行語のように用いられている。例えば、「オリンピック開催により築いたハード・ソフト両面のレガシー(遺産)をいかに次世代に継承するか」というように使われている。しかし英語ではあくまで「遺産」の意味でしかなく、「新しいレガシーをもたらす」という表現はしない。
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