平成の悪書追放運動顛末
1955年ころ「鉄腕アトム」が、小学校の校庭で見せしめ的に焚書されたことがある。高度な未来社会を描く内容がデタラメだという理由である。一方「赤銅鈴之助」は親孝行な主人公を描いており、真空斬りは「かまいたち」という現象で科学的根拠がある、という奇妙な判断だった。鳩山一郎首相は「青少年に対し悪影響を与えていることは、まことに憂慮すべきことであります。政府としては広く民間団体の協力を得まして、早急にこれが撲滅のため適切有効な対策を講じ、もって明朗な社会の建設に邁進いたしたいと存ずるのであります」と衆議院本会議で述べている。1955年における日本の悪書追放運動は、アメリカの赤狩り(レッド・パージ)という風潮をもろに受けているらしい。ところが数年後、「鉄腕アニメ」がテレビでアニメ化されると、大ブームとなり、音楽の時間にリコーダーでテーマ曲を演奏するようになる。運動会の行進曲も赤銅鈴之助から鉄腕アトムに変った。子供の教育を口実にした愛国主義の押し付けは赤銅鈴之助と共に消えた。近年、政府よりの改憲派の識者が「はだしのゲン」の描写などに難癖をつけ、平成の焚書を画策したが、失敗に終わった。「はだしのゲン」閲覧制限撤回騒動とは何んだったのか?
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