ローマ教皇の椅子の穴
1492年のこの日、初のコンクラーベによりアレクサンデル6世がローマ教皇に選出された。 ローマ教皇を選ぶコンクラーベでは穴の開いた椅子で教皇候補者の性別をチェックするという。その使い方とは、まず候補者が裸で座り、枢機卿の委員会が下から穴を覗いて、「Testculos habet et bene pendentes(彼には睾丸がある。そして、それはきちんとぶら下がっている)」と宣言する儀式が厳かに執り行われる。この珍妙な習慣は9世紀の女教皇ヨハンナがいたというスキャンダルがあったからである。キリスト教世界の最高権力者であるローマ教皇は男性だけに与えられる最高位の聖職である。ヨハンナの伝説は14世紀のボッカチオの物語にも記されており、タロットの女教皇はヨハンナがモデルである。在位は855年から858年までとれるが、実在は否定されている。(conclave)
2000年近い教皇史だが、初代ペテロから265代ベネディクト16世(在位2005-2013)を暗記している人はいるだろうか。高校世界史に登場する主要教皇21人をあげる。
ペテロ (在位64年) ネロ帝の迫害
マルケリヌス(296-304) ディオクレティアヌスの迫害
ミルティアデス(311-314) コンスタンティヌスのミラノ勅令
シリキウス(384-399) キリスト教がローマの国教となる
レオ1世(440-461) 異民族の侵攻を阻止
グレゴリウス1世(590-604) ゲルマン人への布教
レオ3世(795-816) カール大帝に加冠
ヨハネス12世(955-963) オットー1世に加冠
グレゴリウス7世(1073-1085) カノッサの屈辱
ウルバヌス2世(1088-1099) 十字軍を提唱
エウゲニウス3世(1145-1153) 第2回十字軍
クレメンス3世(1187-1191) 第3回十字軍
インノケンティウス3世(1198-1216) 教皇権の絶頂期
グレゴリウス9世(1227-1241) 第5回十字軍
インノケンティウス4世(1243-1254) 第6回十字軍
ボニファティウス8世(1294-1303) アナーニ事件
アレクサンデル6世(1492-1503) ルネサンスの保護者
レオ10世(1513-1521) ルターの宗教改革
ウルバヌス8世(1623-1644) ガリレオ裁判
ピウス7世(1800-1823) ナポレオンに加冠
ピウス12世(1939-1958) ホロコースト(ユダヤ人虐殺)
« 仙台藩花山村寒湯番所跡 | トップページ | ジェニファー・リム »
男性かどうか判別するのに椅子に穴をあけて睾丸の有無をチェックしたコンクラーベ・・なんとも笑っていいのかどうか、考えちゃいますね・・。
投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2013年2月26日 (火) 00時15分
現在では女教皇ヨハンナの実在については、否定する意見が強いですね。
むしろ、ユダヤ民族の裁判(当時女性は参加していなかったと思われます)で、証言をするものが睾丸を他のものに握らせて、真実を話すと宣誓する「腿の誓い」との関連が濃厚です。
なお、腿は男性の股間を示す旧約聖書の婉曲表現です。
投稿: 半可通 | 2023年2月12日 (日) 21時46分