映画「乱れる」と銀山温泉
江戸時代の宿場町として栄えた山形県尾花沢には「芭蕉・清風歴史記念館」がある。清風とは鈴木清風(1651-1721)のことで、尾花沢の豪商で紅花商人であった。芭蕉も奥の細道の旅で尾花沢には10日ほど滞在している。この尾花沢には寛永の頃には延沢銀山で銀が採掘され、また延享年間から温泉も出て、湯治場として繁昌した。最上川の支流銀山川の清流にのぞむ静かな銀山温泉。1913年の大洪水により温泉街は壊滅した。
大正ロマンただよう温泉街は映画のロケ地としてしばしば登場する。成瀬巳喜男監督の「乱れる」の後半部分で、高峰秀子と加山雄三が銀山温泉を訪れるシーンがある。年の離れた義弟から愛を打ち明けられた高峰の揺れる女心が、鄙びた湯治場の場面でよく生かされている。ラストで加山が事故死する幕切れはかつて批判されたらしいが、歳月がたちビデオで観賞すると、むしろドラマチックで「乱れる」は成瀬・高峰コンビの名作の1本であることを確認する。ドラマ「おしん」のロケ地やアニメ「千と千尋の神隠し」のモデルとして使われた。
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