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2013年7月 6日 (土)

モーパッサンの悲観主義

Maupassant_192   ギ・ド・モーパッサンは1893年のこの日、42歳でなくなった。1850年8月5日、ノルマンディのディエップに近いミロメニルに生れた。幼少時代から断崖で有名なエトルタに滞在し、後年にギェット館という別荘を建てた。印象派の画家クロード・モネ(1840-1926)は、秋になって静かになった避暑地のエトルタで風景画を描いていたが、「エトルタは猫一匹いない。ただし、モーパッサンを除いては。昨日彼を見かけた」と手紙に書いている。ゴッホ(1853-1890)もモーパッサンを愛読していたらしいが、モーパッサン文学と印象派との間には、何かしらの共通するところがあるのかもしれない。

    モーパッサンはフローベルの教えをうけた明晰な文体と客観描写によって近代短編小説を完成させたといわれている。彼のいわゆる客観小説論とは「作家たる者は人物や事件をわれわれの眼前に彷彿たらしめることと、人物の心理状態を一つの行動ないし身ぶりによって啓示することとに止まるべきだ」(『ピエールとジャン』の序)ということにある。モーパッサンはこの理論をみごとに実践して、日常生活における悲劇的なものに対するそのセンスによって、人間生活のささやかな真実を力強く描き出した。彼の小説はあくまで客観的でありながらも、いうにいわれぬ哀感を読者の心に残すものがある。彼の代表作の一つに『女の一生』(ユンヌ・ヴィー)で、妻としての愛にも、母たる愛にもことごとく欺かれたジャンヌが「人生というものは、世間の人たちが想っているほど良いものでも、悪いものでもありませんね」という述懐は、モーパッサンの孤独感、悲観主義という特色がよく現れている。42年間の生涯、モーパッサンは娼婦を含め300人の女性と関係したといわれるが戸籍上は独身だった。( Maupassant,Dieppe,Miromesnil )

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コメント

仏文学を本年は読んでいます。バルザックの全集に挑み、8割ほどで、ゾラ、フローベールと来て、モーパッサンの『女の一生』を昨日読了。当方、40年来、山岳・風景写真をライフワークとしていまして、モネ他の印象主義絵画も愛好しています。また、小説の中の風景描写、特に心理描写を風景が語りかけるものには、心が動きます。バルザックもその意味で、勉強になりました。今回、モーパッサンを読み、「エトルタ」の風景描写から始まり、その風景の光と影、空気・匂いまでの描写を読み、この小説への作家の景色の見方が、印象主義の絵画の影響が濃厚であると思いました。1830年代のバルザックの風景描写とは異質の筆使いと感じたのです。このブログで、同じ感慨の人がおられる事とモネのモーパッサンに関する記述のご紹介に感謝します。

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