ワット・タイラーの乱
1381年のこの日、イギリス農民一揆の指導者であるワット・タイラーが殺害された。ワット・タイラーの名前は、煉瓦焼工ウォルターからきたあだ名であり、本姓は不詳である。娘をはずかしめた人頭税徴収官を殺害し、人頭税反対一揆の首領となった。
また指導者の一人に説教師ジョン・ボールがいて、「アダムが耕し、イブが紡いだとき、誰が貴族だったのか」という言葉で一種の平等思想を説いたともいわれる。ただし、これは近代思想のはしりというよりも、むしろ中世独特の宗教思想であり、すでにグレゴリウス1世も「我々は生まれながらにして平等である」といっていた。
中世の人は、遅かれ早かれ死ねば平等と信じていた。ただ中世には現実に不平等を緩和しようとする企ては行われなかった。農民一揆はそれをある程度現実化しようとした点で、中世末の境目の変化の相を示している。
タイラーはロンドン市長の謀略によって国王の面前で斬殺されたことから、農民軍は各地で敗れて一揆は終結した。(Wat Tyler,John Ball)
« 国語辞典に載ることば | トップページ | 「水族館」「動物園」英語での表現は? »
「世界史」カテゴリの記事
- 李氏朝鮮はなぜ元号がなかったのか?(2023.05.24)
- ハインリヒ5世(2023.05.23)
- 劉裕と陶淵明(2023.05.22)
- ポーランドの英雄ヤン・ソビエスキ、国王に即位する(2023.05.21)
- ゴンブルサ事件(2023.02.18)
コメント