河鍋暁斎とカエル
東京の谷中の瑞輪寺塔中正行院に幕末から明治に活躍した日本画家、河鍋暁斎(1831-1889)の墓がある。墓石は自然石を二つ重ね、一番上の石はカエルを模したものという。なぜカエルのなのか。野口勝一「河鍋暁斎伝」(明治22年、絵画叢誌)には次のようにある。
翁始め病に臥す時、其の自ずから起つべからざることを知り、庭前の石を指し、家人に告げて曰く、予死なば、彼の石をもて一蝦蟇を刻み、之を墳上に置くべし。別に碑石を建つることなかれ。これ又何の為なることを知らざれども、願ふに翁が画に入るの初めは蛙を写せしによる。然らば即ち蛙は蝦蟇に類せるを以て終りをおもひ、其の始めをしるさんと欲するの意ならんか、と。或いは然らん。
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