ローランサンとグウェン・ジョン
本日はマリー・ローランサンの忌日。20世紀の女性芸術家といえば誰を思い浮かべるだろう。年齢順にいえば、ドイツのケーテ・コルヴィッツ(1867-1945)、上村松園(1875-1949)、フリーダ・カーロ(1907-1954)などがあげられる。しかしなんといってもマリー・ローランサン(1883-1956)が美術の教科書でも取り上げられ、日本では一番有名だろう。ところが最近はローランサンよりもグウェン・ジョン(1876-1936)のほうが断然と評価が高い。同じ時期パリに住んでいた二人が面識があったかどうかはわからない。社交的なローランサンに対して、非社交的で内面的なグウェンであるから、芸術的に刺激を受け合うことはないだろう。グウェンは展覧会を開くことも絵を売ることもせず、モデルとして細々と生計を立て、隠遁者のような生涯だった。オーギュスト・ロダンとの親交が、生涯独身を通した彼女の唯一の恋愛であった。
「クローイ・ボートン・リー」(1907)はグウェンの女性のとらえ方を示している良い例である。モデルは物思いにふけり、ぼんやりとした眼差しをたたえており、静かな、内省的な人格として描かれている。繊細で控えめな表現が21世紀になって高く評価されている。(Gwen Jojn,Chloe Boughton Leigh)
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