鐘馗と道教
今も民衆の中に生きる道教の神々。人間に100の願いがあれば、それを専門にする100の神々が存在する。1000あれば1000、1万あれば1万の神々がいるとまでいわれる道教の神々。日本の端午の節句でお馴染みの鐘馗も江戸時代から疱瘡除けの神で知られているが、本来は中国の魔除けの神である。道教神では「辟邪神」と言って、石敢當、方相氏、門神、中檀元帥などと共に鐘馗が歳末に厄除けの神として、鐘馗の絵を護符として家の中に掲げる風習がある。このような伝説がある。
唐の玄宗皇帝が熱病にかかり、夢をみた。小鬼が香嚢や玉笛を盗んだが、突然大鬼が現われ、小鬼をとらえて目をえぐり、引き裂いて食べてしまった。帝が問うと、終南山の進士の鐘馗というもので、不慮の死を遂げたとき厚く葬ってくださった恩に感じ、帝のために邪悪を除く誓いを立てましたと答えた。その夢からさめると帝の病気はなおっていた。そこで、画家の呉道子に鐘馗の絵「鐘馗、鬼を捕らえる図」を賜ったという伝説が残されている。
鐘馗の容姿は人並みはずれて大きく、巨眼、ひげが多く、黒冠をつけて長ぐつをはき、右手に剣を握る。元来は終葵(しゅうき)といい、椎(槌の意)のことであった。椎は鬼を追いはらうものであることから、これを魔除けとするようになり、さらに擬人化し神格化して鐘馗になったという説がある。
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