悪魔の缶詰
ニューヨークの新聞記者ロバートは、ある日スーパーで缶詰の安売りがあったので、いくつか買い込んで家にもって帰った。グリーンピースのスープの缶詰だった。そして、そのうちにいくつかを食べつくした。すっぱい味がしたが、それでもあまり気にしないで口に入れてしまった。ところが四、五日たってからロバートは奇妙な腹痛に苦しみ、医者にいった。診断ではどこもわるいところはなかったが、とにかく胃のなかを検査してみようということになった。検査の結果、彼の胃の中で、なにか小さいものが動いているのが認められた。医者は首をかしげながらも、なにが動いているのか正体がわからないので、様子をみようということになった。ロバートの腹痛は、いよいよ酷くなるばかりで、医者はいろいろな薬を与えたが、まったくその効き目はなかった。
その胃の中の小さな動くものは、しだいに成長して大きくなっていることがはっきりと認められ、ロバートは七転八倒し。喉から血を吐くこともあった。1ヶ月ほどたったある日、ロバートの腹痛の原因がわかった。ロバートの胃のなかで、ヤモリともトカゲともつかない小さな生き物が、彼の胃を食い荒していたのだった。ロバートは手術を受けたが、そのときはすでに遅く、この世の人ではなくなった。
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