とうふ娘哀話
肥前福江藩の第7代藩主・五島盛道(1711-1780)の頃の話。この藩には女の人の3年奉公制度があった。福江の武家へ3年間無給で奉公に出すというもので、米5石または銀300匁を藩に収めれば免除された。しかしこれは相当に裕福でないと捻出できる額ではなく、ほとんどの領民は奉公していた。ある娘が、石田城内に御殿女中として召された。殿様にお茶をさしあげるために、御居間にはいろうとしたところが、あやまって敷居をふんだので、音をたててしまった。殿様は、その音を聞き、娘がおならをしたものと聞きあやまって、「おまえは、おとしたナ」となじられた。娘はいいわけもできず、娘ごころの恥ずかしさに、思いあまって、あるとき、かわいそうに海に飛び込んで死んでしまった。そのことが後でわかって、「かわいそうなことをした」と、はじめは旧藩主をまつった城山神社の隅に、この娘の小さな石の祠がたててあったが、いつの間にか、大森の海岸に移された。この道を通るときは、かならず誰でも豆腐を祠にそなえてから、通ることになっている。この娘は、生きていたころ、大の豆腐好きだったという。
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