伊沢一郎と戦前の日活
日活といえば誰しも石原裕次郎を連想するが、それは戦後再開した日活であり、戦前の太秦・多摩川撮影所時代の日活を連想する人は少なくなったであろう。長門裕之主演の「若き魂の記録 七つボタン」(1955)を見ていると戦後再開から29作目で初期の俳優がオールスターのように出演している。三國連太郎、三橋達也、安倍徹、金子信雄、高品格、芦川いづみ。だが戦前の日活をイメージさせる俳優は少ない。上官の伊沢一郎は戦前からの日活二枚目スターだった。本名を萱野季男(1912-1995)といい、父の萱野三四郎は朝鮮で警察署長だった。1930年に日活に入り、「かんかん虫は唄う」でデビュー。「ある父」(1931)では早々と主演、「ためらふ勿れ若人よ」(1935)で原節子と共演している。代表作は「五人の斥候兵」「土と兵隊」「歴史」「戦艦大和」など。戦後もテレビドラマで脇役として活躍した。
« マンハッタン無宿と旧パンナムビル | トップページ | 球界の草刈正雄 »
コメント