過剰とも思える図書館蔵書の廃棄が起きている
紙の図書が電子化されるなか、県立クラスの保存センターの役割がある大図書館でも膨大な量の蔵書の廃棄が行われている。図書館の蔵書廃棄に関しては、意図的に特定の図書を廃棄した場合に問題視される意外、日常的なことなのでほとんど市民の関心をよばない。しかし実際はかなり貴重な文化的資料がデジタル化もされずに拙速な廃棄で消えつつある。図書館内部のダークな部分なのでその実態は把握しにくい。岡山県立図書館のある協議会委員の質問をみてみよう。
質問 中期サービス目標に、館内図書の永年保存ということであるが、このまま新刊図書の70%を買い続けた場合、いつまで保存できるのか。収集保存の方針と基準を突き合わせてみて、常に見定めていく必要がある。では新刊図書は5~6年で利用は激減するものが多い。業務システムを利用し、ある年数経過したもので、まったく利用のないものは廃棄することも検討してみてはどうか。そうしないと、すぐに容量をオーバーすると思う。
事務局 資料保存センターとしての役割は、県立図書館1館のことではなく、市町村立図書館の保存センターでもある。そのため、市町村立図書館で利用頻度が低くなって除籍する図書も、保存する必要がある図書は、県立で引き受けて保存していく必要がある。永年保存するものは、本館利用の図書のみで、支援用図書は7年で除籍をしている。書庫は、開館後20年分の本を収蔵できる容量があり、更にもう20年分収蔵するための拡張ができるように設計されている。選定基準は、他県のものを参考にしつつ、今後も見直しを進めたい。(平成20年2月8日、岡山県立図書館協議会議事録より抜粋)
このケースは図書館協議会委員より、図書の適正な保存のあり方を質問されたが、県立は本館のみではなく、県下の市町村立図書館からの保存必要性のある資料の移管して保存している役割も述べている。書庫のキャパシティーに関しては委員はかなり早い段階で心配されているようにみえるが、集密書庫などを拡張し計画的に保存すれば当面は過剰な廃棄は避けられるように思う。
ある市立図書館では蔵書計画の甘さから開館後10年もしないうちに書庫が過密化し、創設開館時のコアと言うべき蔵書、昭和初期の国文学関係の図書をすべて廃棄している。県下のどこの図書館にも所蔵されていない学術的に高いものであったので惜しまれる。
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地方の図書館もそうです・・。
(≧m≦)
廃棄処分本のコーナーがあって、「ご自由にお持ち帰りください」とあるのは毎日数冊。
図書館は資料の保存を放棄したのでしょうか。単なる無料貸し出しの場と化してしまったとは・・補完スペースの問題もありましょうが・・・
投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2013年4月18日 (木) 12時05分