口は災いのもと(猪瀬知事失言騒動)
Out of the mouth comes evil.
東京都の猪瀬直樹知事が、米紙ニューヨークタイムズのインタビューで「イスラム教国は互いにけんかをしている」などイスラム諸国を批判したとみられる問題発言について、本人は「イスラム国の方に誤解を招く表現でおわびします」と謝罪した。知事の発言はIOCの倫理規定の他都市を批判したり、比較したりしない、とする禁止項目にふれるものであるが、IOCでは猪瀬を処分しないことを明らかにした。またトルコは「日本とトルコの人々の間で何世紀も続いてきた友情とお互いを尊重しあう心を最大限に重視している」とコメントしている。トルコ側の大人の対応に感謝したい。しかし、この一件で日本はこれまで招致に75億円以上を使ってきたが九仞の功を一簀に虧くことになりかねず、リーダーの失言は東京招致に暗雲をもたらしたものとみられる。
また猪瀬発言のなかで、注目すべきことは、日本が長寿社会に対して、イスラムの平均寿命などを例にあげていた。だが21世紀になって、医療技術が向上し、中東やアフリカ諸国などイスラーム教が多数占める地域では高い人口増加率を維持している国も多く、20~30年後にはキリスト教の人口を抜いて世界最大の宗教になると予想されている。予断と偏見にもとづいた主張ではなく、日本人全体にイスラーム諸国の歴史と文化の正しい理解が求められている。トルコだけではなく、インドネシア、マレーシア、アラブ諸国とぃつたイスラム諸国に対しても猪瀬発言は遺憾なものであった。ところが猪瀬は懲りない性分で「今回の件で誰が味方か敵か、よくわかったのは収穫だった」とツィッターしているのは呆れる。
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