挨拶の語源
挨拶と書いて「あいさつ」と読める人は多いが、なぜこのような漢字が用いられるようになったのか知る人は少ない。「挨」とは「打つ」とか「押す」の意味、「拶」は「近づく」「進む」という意味で、「挨拶」とは「押し進む」という意味になる。禅宗の僧が、お互いの間で問答を繰り返す熟語として用いていたが、そこから転じて、人が出会ったとき交わす受け答えという意味で「挨拶」が使われるようになった。日置昌一「ことば事典」には次のような説明がある。
葛長庚(宋の書画家)のなかに「むかし天子は登りて泰山に封ぜられる。そのとき士庶挨拶す。ひとり一県尉を召し、轎(やまかご)にて行かしめ、前に呼んでいはく、官人来ると、衆みな靡然となる」(鶴林問道篇)の一文を引用している。
日置昌一(1904-1960)は昭和の「ものしり博士」で小学校卒業後、上野の図書館に通いながら、独学で在野の学者となった人である。
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