ゴッホの絵を買った女性
ゴッホが生前に売れた絵はたった一枚といわれる。それはゴッホとテオの手紙に書かれているからだ。1889年の終わり頃、ブリュッセルで開催された「二十人会」の展覧会に出品した「赤い葡萄畑」。400フランで購入したのはアンナ・ボックという30代後半のベルギーの女流画家。詩人で画家の弟のウジューヌ・ボック(1855-1941)がゴッホのモデルをして、弟からすごい画家がいることを聞かされた姉も、実際に絵を見て衝撃をうけたのだろう。いわばアンナは初めてのゴッホ芸術の理解者といえる。姉と弟との間にごく私的な最初のゴッホ・ブームが起こったのだろう。絵画を投機目当てに収集するのではなく芸術を愛したからなのだろう。いまゴッホの絵は想像を絶するような高値がついているが、人が評価された美術館に収まった絵を愛するたけでなく、虚心になって美をみつめる心をもつようにならないだろうか。アンナという女性はそんなことを教えてくれる話である。
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