2枚のモナリザの謎
先ごろ、スイスのモナリザ財団が所有する「若きモナリザ」(アイルワースのモナリザ)に関して「ダビンチ本人が、モナリザの完成より前に描いた」と発表した。ダビンチが2枚のモナリザを描いたという話は古くからあった。1913年に絵画収集家ヒュー・ブレイカーが発見し、ロンドンのアイルワースで保管され、一般公開はほとんどされなかった。やがてアメリカ人の手から、2008年にスイスのモナリザ財団が購入した。ルーブルの「モナリザ」(1516)と構図はほとんど同じだが、10歳ほど若く見える。美術史家ジョルジョ・ヴァザーリがモナリザのモデルをフィレンツェの豪商の妻エリザべッタ・デル・ジョコンドであるとする説が有力であるが、「若きモナリザ」のモデルが同一人物であるのか。エリザべッタは当時24歳で実年齢は「アイルワースのモナリザ」に近い。ルーブル美術館のモナリザはもっと年齢が高くみえる。ダビンチは最初にモデルそのままに描き、それからインスピレーションで「モナリザ」を制作した可能性が考えられる。これに対して、ダビンチがほとんど使わないキャンバスに描かれていることなどから、「アイルワースのモナリザ」を別人の模写作品とみる研究者も多い。モナリザ真贋論争はさらに過熱しそうである。(Isleworth Mona Lisa,Leonnardo da Vinci)
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