「フランダースの犬」の謎
「山のあなたの空遠く」という一編の詩で知られる詩人カール・ブッセの名前は日本ほどにドイツでは有名ではない。アダモの「雪が降る」はシャンソンの名曲だが、フランスでは誰も知らない。「仰げば尊し」は日本では知らぬ人はない卒業ソングだが、原曲の本国であるアメリカでは誰も知らない。ウィーダの「フランダースの犬」は日本ではよく知られている物語だが、舞台となったフランダース(ベルギー)ではほとんど知られていない。どうして「フランダースの犬」が本国で読まれなかったのか。アニメ版ではネロは10歳の少年だが、原作では15歳である。当時のヨーロッパでは十分に働ける年齢とみなされ、もっと生きるための努力をするべきだという指摘がある。つまり19世紀末のヨーロッパ近代の倫理に「フランダースの犬」は適わなかったのである。
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フランダースの犬の物語は息子が好きな物語だった・・のに・・本国のベルギーではyウ梅井ではないらしい。そんなもので、地方で知らない者のない人間もよそでは無名ということは枚挙にいとまがない。
投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2013年3月12日 (火) 15時21分