漱石愛用の万年筆「ペリカンとオノト」
高級万年筆というえばモンブランやペリカンというブランドが有名だが、夏目漱石は英国トーマス・デ・ラ・ルー社製のオノト Onoto を愛用していた。
「オノトで書いているのであるが、大変心持よくすらすら書けて愉快であって、ペリカンを追い出した余は其姉妹にあたるオノトを新しく迎え入れ」と書いている(「余と万年筆」)
漱石は大正元年から5年間愛用し、「行人」「こころ」「道草」「明暗」などを、このペンで生み出した。オノト万年筆は1906年にデ・ラ・ルー社が発売したが、日本では丸善が代理店としてオノトの輸入販売を開始し、漱石や菊池寛らが愛用した。残念ながら、同社の万年筆は1958年に製造を中止し、現在はもう手に入らない。(Thomas de la Rue)
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