ゴッホの椅子
ゴッホの椅子 1888年12月~1889年1月 ロンドン テート・ギャラリー蔵
ゴーギャンとの共同生活が始まって間もなく、ゴッホは二つの椅子を描いた。一方はゴッホ自身の、他方はゴーギャンの椅子である。前者がこの作品で、日光のもとで描かれ、ゴーギャンのそれは、ランプの光で描かれる。ゴッホのは頑丈で素朴だし、ゴーギャンのそれは、しなやかな曲線で描かれている。意図的ではなかったかもしれないが、二つの椅子は、まったく対照的な二人の性格を暗示し、やがて悲劇に終わべき共同生活の運命を象徴しているかのようである。なにげない椅子を一つ描くことによって、それを用いる人間の生活そのものを、性格までをも描写するゴッホの感受性の鋭さ、存在についての意識を表現するゴッホ芸術の典型ともいうべき作品だろう。
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