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2013年2月 9日 (土)

血盟団と権藤成卿

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    1932年のこの日、血盟団の小沼正が民主党総務・井上準之助を射殺する。1932年3月12日付の新聞記事に「怪空家 数名の青年が常に出入り」の見出しがある。この空家は権藤成卿宅の隣りにある。権藤は政党の腐敗に、極度の憎悪を持っていたという。彼を慕う若い青年たちが1931年秋ごろから寝泊りしアジトに使っていたらしい。権藤成卿とは如何なる人物か。「権藤成卿における日本復興の思想 特集;国難にいかに対処するか」佐藤優(伝統と革新2011.9)など最近、注目が集まっている。

Photo_3     権藤成卿(1868-1937)は福岡県久留米市の藩医・権藤松門の長男。本名は権藤善太郎。中国・朝鮮で牧畜、鉱山、新聞などを手がけ、京城で李容九らと交わり、統監府設置に尽力した。対露開戦、日韓併合を主張。「皇民自治本義」(1919)を著し、血盟団事件や五・一五事件に影響を与えた。農本自治主義こそ日本本来の姿であり、工業化を促進する資本主義の中央集権主義に抗した。権藤の思想は昭和初期の恐慌下の昭和維新運動の思想的背景となった。著書『自治民範』『農村自救論』は青年将校たちによく読まれた。

    権藤成卿著作目録
皇民自治本義 冨山房 1920
南淵書 小沢打魚 1922
自治民範 平凡社 1924
柳子新論 山県大弐 洪文社 1930
西湖四十字詩 飯塚納 1930
日本農制史談 純真社 1931
八隣通聘攷   1931
君民共治論 文芸春秋社 1932
日本震災凶饉攷 文芸春秋社 1932
農村自救論 文芸春秋社 1932
間々子詩  1933
農村の困弊と食糧問題 自治学会 1935
自治民政理 学芸社 1936
其後に来るもの 血盟団事件 五・一五事件 二・二六事件 平野書房 1936

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