近代日本における「愛」の受容史
明治の作家、独歩や一葉、紅葉、漱石にいたるまで「愛」を小説の主題とした作品は多いが、タイトルにつけるまでに至っていない。図書館の蔵書検索でタイトルに「愛」がつく初期の本から何がみえてくるだろう。
愛しき妻(英文愛読叢書) 高野巽編著 上田屋書店 1902
愛と罪 菊池幽芳 秀英舎 1906
愛の比斯馬克 長田忠一 春陽堂 1909
愛の研究 笈田長陵 良心堂書店 1911
愛の学校 アミーチス 文栄閣書店 1912
愛と慾 バルザック 東亜堂書店 1913
愛の反響 トルストイ著 百島冷泉訳 内外出版社 1907
愛の勝利 トルストイ著 百島冷泉訳 内外出版社 1909
倉田百三「愛と認識との出発」(1921)、谷崎潤一郎「痴人の愛」(1924)などのベストセラーは、「愛」が一般的になってから20年ほどが経過している。やはり初期の「愛」の本は、「愛の学校」のような海外翻訳物がルーツと考えられる。
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はじめまして。
『愛しき妻(英文愛読叢書) 高野巽編著 上田屋書店 1902』 を調べていたところ、この記事を見つけました。
国会図書館OPACでも出てこないのですが、この本が見られるところをご存じないでしょうか。
不躾な質問で申し訳ありませんが教えていただけたらと思います。
投稿: aya | 2013年6月 5日 (水) 17時10分
「愛しき妻」は、大阪府立図書館蔵書検索でヒットします。
投稿: ケペル | 2013年6月 5日 (水) 17時32分