小さな赤いめんどり
昔むかし、ある農家の庭に住んでいる、一羽の小さな赤いめんどりがいました。ある日、その小さな赤いめんどりは、何つぶの小麦の粒をみつけました。彼女はそれらの粒を、その農家の庭にいる他の動物たちのところへ持っていきました。
「誰か、わたしのこれらの小麦の粒をまくのを手伝ってくれないかしら」と、小さな赤いめんどりはたずねました。
「いやだね」と、猫がいいました。
「いやだね」と、ねずみがいいました。
「いやだね」と、豚がいいました。
「それじゃあ、私が自分でこの小麦をまきますよ」と、小さなめんどりはいいました。それで、彼女はそうしました。
毎日、小さな赤いめんどりは、小麦ののびるのを見守るために、畑へ行きました。それらは、丈が高く、たくましく成長しました。
ある日、小さな赤いめんどりは、その小麦がいつでも収穫できるほどに育ったことがわかりました。そこで、彼女は農家の庭にいる他の動物のところへ行きました。
「誰か、小麦を刈るのに私を手助けしてくれないかしら」と、小さな赤いめんどりはたずねました。
「いやだね」と、猫がいいました。
「いやだね」と、ねずみがいいました。
「いやだね」と、豚がいいました。
「それじゃ、私が自分で小麦を刈りますよ」と、小さな赤いめんどりはいいました。それで、彼女はそうしました。
「この小麦は、もういつでも小麦粉にできるわ」と、小さな赤いめんどりは、農家の庭に向かって歩きだしながら、ひとりごとをいいました。
「誰か、小麦を粉ひき場へ持っていくのに私を手助けしてくれないかしら。小麦粉をひくのだけれど」と、小さな赤いめんどりはたずねました。
「いやだね」と、猫がいいました。
「いやだね」と、ねずみがいいました。
「いやだね」と、豚がいいました。
「それじゃあ、私が自分で小麦を粉ひき場へ持っていきますよ」と、小さな赤いめんどりはいいました。それで、彼女はそうしました。
小さな赤いめんどりは、その小麦を粉ひき場へ持っていき、そして、粉屋さんがそれを小麦粉にひきました。その小麦が小麦粉にひかれ終わるとすぐに、小さな赤いめんどりは、それを農家の庭にいる他の動物たちのところへ持っていきました。
「誰か、小麦粉をパン屋さんに持っていくのに私を手助けしてくれないかしら。パンにするのだけれど」と、小さなめんどりはたずねました。
「いやだね」と、猫がいいました。
「いやだね」と、ねずみがいいました。
「いやだね」と、豚がいいました。
「それじゃあ、私が自分で小麦粉をパン屋さんへ持っていきますよ」と、小さな赤いめんどりはいいました。それで、彼女はそうしました。
小さな赤いめんどりは、その小麦粉をパン屋さんへ持っていきました。そして、パン屋さんは、それをパンにしました。そのパンが焼けたとき、小さな赤いめんどりは、それを農家の庭にいる他の動物たちのところへ持っていきました。
「このパンは、もういつでも食べられるわ」と、小さな赤いめんどりはいいました。
「誰か、このパンを食べるのに私を手助けしてくれないかしら」
「手伝うよ」と、猫がいいました。
「手伝うよ」と、ねずみがいいました。
「手伝うよ」と、豚がいいました。
「だめよ、あなたたちは手伝えないわ」と、小さな赤いめんどりはいいました。「私が自分でそれを食べますよ」
それで、彼女はそうしました。
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一首献上。
新しき年の言葉を書き添へて天に祈れる
君に幸あれ
投稿: 根保孝栄・石塚邦男 | 2013年1月26日 (土) 13時36分