長脇差忠臣蔵
日本映画界では、忠臣蔵を作れば必ず当たるといわれる。毎年師走になると「ああ、また忠臣蔵か」と言いつつ見てしまう。そんな中で大映「長脇差忠臣蔵」は珍しいパロディ忠臣蔵。時代は幕末。遠州掛川の親分次郎吉(宇津井健)が対立するヤクザの藤兵衛(上田吉次郎)と老中本多備前守(名和宏)に言いがかりをつけられ処刑される。代貸の喜三郎(市川雷蔵)が子分たちと親分の仇討ちをするというストーリー。雷蔵が尼になった姐さん(月丘夢路)に別れを告げる南部坂の別れや、垣見吾郎兵衛に勝新太郎を配したり、サービス満点の演出である。新東宝から移籍した天知茂は清水一学でニヒルさが際立つ。宇津井健、藤村志保以外はほとんど故人になっている。また雷蔵は早世したため大石内蔵助を演じることがなかったのが、改めて惜しまれる。
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