2枚の「フルート吹き」
17世紀オランダの画家ヘンドリック・テル・ブルッヘン(1588-1629)の名前を知っているだろうか。デベルテルに生まれ、ユトレヒトで絵画をアブラハム・ブルマートに学んだ。1604年から10年間ローマにあってカラヴァッジオの芸術から感化を受け帰国後、ユトレヒトで「フルート吹き」(1621)「クラウディウス皇帝」(1627)を描いている。41歳と早世だったが、彼の画風はレンブラントやフランス・ハルス、フェルメールの絵画の中に見つけ出せる。ルーベンスは彼をネーデルランドのすぐれた画家と批評している。
「グランド現代百科事典21」ではカッセル美術館所蔵の「フルート吹き」(Boy Playing a Recorder)の図版を掲げている。ところがウィキペディアでは異なる「フルート奏者」(Flute Player)という作品が掲げられている。2枚とも制作年は1621年。画風は大きく異なっている。一枚は胸をはだけたワイルドで貧しそうな男、もう一枚はきちんとした身なりの後ろを向いて顔がみえない青年。(Hedrick ter Brugghen,Abraham・Bloeaert,Kassel)
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