マカールの夢
シベリアの田舎に住むヤクート人の百姓マカールは、貧しく、いつも苦しい仕事に悩まされながら、飢えと寒さにおびえつつ、みじめな生活を送っていた。ちょうどクリスマスの前の晩、彼は、雪の野原に兎のわなをしかけておいたのを思い出して、兎狩りに出ていくが、途中で凍死してしまう。そして、死んだ彼は、天国に連れていかれ、神の前で裁きをうける。あたりには、翼のある天使が飛び交っていた。善の秤と悪の秤とがあって、生前のおこないが読みあげられるたびに、秤は右に下がったり、左に下がったりする。マカールの行いも善いことばかりではなかった。しかし、神の裁きは公平だった。マカールの犯した罪はみな、つらい労働や、みじめな暮らしのせいであったことが証明され、善の秤は、しだいに重くなって下がっていった。(ウラジミール・コロレンコ作) Makar's Dream,Vladimir Korolenko
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