ボッカチオとペトラルカ
ジョヴァンニ・ボッカチオ(1313-1375)の「ボッカチオ」は近代小説のさきがけとなったルネサンス文学の代表的作品だが、現代ではもはやポルノとして扱えない古典文学であるため、名のみ有名で誰も読まない本の一冊だろう。肉体の喜びを謳歌する点もさることながら、聖職者の偽善的生活を諷刺したため、16世紀にはローマの教皇庁の禁書目録に加えられている。作者のボッカチオ自身は放蕩で淫乱な人生を過ごし、女性遍歴もさぞかし多いことを期待したいが、「デカメロン」を執筆後、意外に禁欲な人生を歩んだ。世間の非難から、これまでの奔放な生活を恥じ、ついに小説を書くことをやめて、ダンテの研究に過ごした。敬愛するペトラルカから評価が得られなかったことが原因ともいわれる。ペトラルカの遺言には、金50フィオリーニを親友ボッカチオに贈るとある。ボッカチオも師のあとを追うように翌年に亡くなっている。
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